Kanさんに聞く! 結婚、家族って何? 自分やみんなの幸せのために、今できること【前半】「結婚」「家族」ってどんなこと?
お話を聞いた人
Kanさん
画像左がKan(カン)さん、右はパートナーのTom(トム)さん。
大学在学中にカナダに留学。大学卒業後はイギリスの大学院でジェンダー・セクシュアリティについて学ぶ。帰国後はけしょう品会社に入社し、マーケティング業務を担当。2019年にNetflix『クィア・アイin
Japan!』のエピソード2に出演。性的マイノリティ当事者として、自分らしさやセクシュアリティをテーマにSNSでの発信や、企業、学校での講演活動をおこなっている。
はる
ココカラ学園 インタビュー部
ココカラ学園の生徒「はる」がインタビューをお届けします。サッカーと、かわいいくまのキャラクターが大好き。
はる
はじめまして、ココカラ学園インタビュー部のはると言います。本日はよろしくお願いします!
Kan
はじめまして。Kanといいます。はるさんとお話しできるのを楽しみにしていました! 今日はよろしくお願いします。
今回はこんなことを聞いてみたよ
- Tomさんとの結婚を決めた理由って?
- Tomさんとどんな家族になっていきたい?
Tomさんとの結婚を決めた理由って?
はる
Kanさんは、2021年にパートナーのTomさんとご結婚されたと聞きました。おめでとうございます!
Kan
ありがとうございます。
はる
実は、ぼくは男の人どうしで結婚されている方に初めてお会いしました。
Kan
おお、本当ですか。たしかに、特に日本では、まだまだめずらしいかもしれないですね。
はる
イギリスのスコットランドでご結婚されたんですよね! お二人の出会いについてや、結婚を決められた理由を教えてください。
Kan
ぼくとパートナーのTomは、2016年の11月にロンドンで出会いました。当時、ぼくはイギリスのロンドンに留学していたんです。そのときに、ロンドンで働き始めたばかりだったTomと、インターネットを通じて出会いました。
1年半くらいの間ロンドンでお付き合いをしていたのですが、日本で就職が決まったことをきっかけにぼくは東京へもどることになりました。2018年の4月のことです。Tomはロンドンに残り、ぼくたちは離れ離れになりました。
はる
東京とロンドン……。想像できないくらい遠そうです。
Kan
想像するのはむずかしいですよね。すごく遠いんです。時期によって少しちがいますが、約9時間もの時差があり、東京で朝9時をむかえるころ、ロンドンではまだ夜中の12時なんですよ。
遠く離れた場所で過ごしている間、Tomと「3ヶ月に一度は会おう」と決めて、おたがいに東京とロンドンを行き来していました。
はる
わぁ。すごいですね!
Kan
一緒に過ごしたいという思いで、二人とも頑張っていたんです。でも、2020年の年始に会ったのを最後に、新型コロナウイルスの影響で、会えない期間が1年半もの間続きました。
顔を見るどころか、Tomが日本に入国することすらできなかったんです。
はる
1年半……すごく長く感じます。
Kan
そうですよね。コロナウイルスの流行が収まらず、次はいつ会えるのかもわからない状態の中、二人が一緒にいるためにはどうすればいいのかたくさん考えました。
そうして、二人で「イギリスで結婚しよう」と決め、ぼくは2021年の7月末にイギリスへ移住してきたんです。結婚すれば、イギリスに住む権利を得ることができ、イギリスに住めればTomと一緒に過ごすことができるから。
はる
結婚しないとできないこと、というのがハッキリとあったのですね。
Kan
はい。イギリスに住むことだけでなく、病院へ行くこと、働くことなどの生活にかかわる権利が、結婚をすることで認められるんです。(※)これらは一緒に暮らしていくにあたってとても大切なことでした。
※「YMS(ワーキングホリデービザ)」など、ビザの種類によって、結婚していなくても医療の保証がなされているものもありますはる
どうして日本でではなく、イギリスでの結婚を決められたのでしょうか?
Kan
日本だと、公的な身分証(パスポートや健康保険証など)に記載されている性別が異性同士のカップル以外、法的な結婚が認められていないんです。日本でのTomとの生活も検討してみたかったのですが、それは残念ながらできませんでした。イギリスでは同性婚が認められているので、Tomの暮らしているイギリスで結婚することにしました。
はる
なるほど。それでKanさん、Tomさんのような方々にお会いすることが日本ではあまりないのですね。ぼくはすごく残念です。
Kan
日本では法制度が整っていないため、結婚ができない状況ではありますが、「結婚をしたい」と考えている同性カップルもたくさんいるんですよ。
Tomさんとどんな家族になっていきたい?
はる
結婚されてからのお話も聞かせてください! Kanさんは、Tomさんとこれからどんな家族になっていきたいですか?
Kan
ぼくは、ぼくたち二人の関係性を「こうあるべき」と決めつけてしまうことがあまり好きではないんですね。だから、パートナーと二人で築いてきたオリジナルな関係というのを、ものすごく大切にしていきたいと考えています。
はる
KanさんとTomさんだけの特別な関係、ということですね。
Kan
そうですね。もちろんぼくとTomは家族なんですけど、「家族だからこうじゃなきゃいけないよね」っていうように、家族という言葉がぼくたちをしばるんじゃなくて、家族という言葉がぼくたちの関係の後についてくるような関係でいたいなと思ってます。
はる
すごくステキです。ぼくもそんな風に思えるパートナーに出会いたいと思いました。お二人の関係は、結婚される前と後で何か変化はあったのでしょうか?
Kan
いいえ。変わっていないです。ぼくとTomが二人で築いてきたオリジナルな関係が、家族になってもそのまま続いている。そんなイメージなんです。
先ほどもお話しした通り、結婚をしたことで、病院へ行くこと・働くことなどの生活にかかわる権利を得ることができました。安心してくらせるようになった、という意味では、とても大きな変化があったと思います。
はる
前半はありがとうございました! 後半もよろしくお願いします。