アンコンシャスバイアスってなに？

アンコンシャスバイアスってなに？

アンコンシャスバイアスとは、知らないうちにものごとを決めつけてしまうことだ。アンコンシャスとは日本語で「気づかない」、バイアスは「思いこみ」という意味だよ。もっとよく知るために、アンコンシャスバイアスがいっぱいな、ある小学校の5年2組をのぞいてみよう。

キュウリ？それともトマト？

5年2組では、夏に向けてきゅうりかトマトの種を植えることになり、「どっちの種にするか？」を多数決で決めることになった。しほちゃんはキュウリに手を挙げようと思っていた。

先生が「キュウリの種がいい人？」と聞くと、誰も手を挙げなかった。しほちゃんはキュウリがいいと思っていたけど、まわりと違うのは嫌だから、手を挙げなかった。結局トマトに手を挙げた人がたくさんいたので、トマトを育てることになった。

さて、このしほちゃんの行動は、「みんなと同じことをしようとする」アンコンシャスバイアスの例だ。みんなと同じじゃなくていいのに、なんとなくみんなと同じことをした方がいい気がしてしまったんだ。ちなみに、となりの席のゆうくんも本当はキュウリがよかったんだって。

小島先生はなんでも正しい？

5年2組の先生は小島先生。虫の名前をたくさん知っていて、算数の計算もとっても速い。そして、英語も話せる。クラスのみんなは「小島先生はなんでもできる。小島先生が言うことはなんでも正しい」と思っていた。

7月になって、みんなで育てていたアサガオが咲き始めた。「きれい！」みんな大喜びだ。すると小島先生は「アサガオのお花には毒があるから、さわらないでね！」と言った。みんなはびっくりしたが、小島先生の言うことだから間違いないと思い、お花にさわらないようにした。

これもアンコンシャスバイアスだ。

みんな小島先生の言うことはなんでも正しいと思っていたから、「アサガオのお花には毒がある」と言われたらそう信じてしまったんだ。後で調べると、毒があるのはアサガオの種で、お花に毒はなかった。実は、しほちゃんは「毒があるのは種だけじゃない・・・？」と思っていたけれど、言いづらくて言えなかったんだって。ちなみに小島先生、実は植物にはあまり詳しくなくて、トマトも苦手なんだって。

大きなめがねのともきくん

2学期、5年2組に転校生がやってきた。名前はともきくん。ともきくんは大きなめがねをかけていて、机に座って静かに分厚い本を読んでいた。そんなともきくんのことを見て、ゆうくんは「ともきくんはきっとお勉強が好きなんだ」と思った。

ここにもアンコンシャスバイアスがかくれている。ゆう君はともきくんに話しかけたわけじゃない。だけど、「大きなめがねをかけていること」や「分厚い本を読んでいること」と、「お勉強が好きなこと」が知らないうちにつながってしまっていたんだ。

後で話を聞くと、ともきくんはピアノとサッカーが好きだった。めがねをかけているのは実はオシャレで、本を読んでいるのも「勉強が好きだから」じゃなくて、「その小説が好きだから」だってさ。

アンコンシャスバイアスがあると・・・

さて、アンコンシャスバイアスがあると、どんなことが起こるんだろう？

例えば、本当はキュウリの種にしたい人はトマトの種にしたい人よりも多かったのかもしれない。みんなが「みんなと同じのほうがいいかも」とアンコンシャスバイアスをもっていたから、おたがいの様子を見ていたら手を挙げられなくて、結果的にトマトになってしまったのかもしれない。

小島先生の言うことは正しいと思い込んでしまったら、小島先生とは違う意見を言い出しづらいし、大きなめがねのともきくんだって、ピアノやサッカーの話をしたいのに勉強の話ばかりされたらつまらなくなってしまう。

アンコンシャスバイアスがあると、知らないうちに、思ったことが言えなくて困ってしまったり、決めつけられて悲しい気持ちになる人がでてきてしまうかもね。

アンコンシャスバイアスに気付こう！

これまでのお話をきいて、「わたしもアンコンシャスバイアス持ってるかも・・・」とどきっとした人もいるかもしれないね。でも大丈夫。アンコンシャスバイアスは、実は誰もが持っているものなんだ

大切なのは、「あれ、これってアンコンシャスバイアスかも？」と考えてみること！考えて、アンコンシャスバイアスに気付くことができれば、思いこみをやめてそのあとの行動を変えることができるかもしれないよ。

みんなも身の回りの「アンコンシャスバイアス」を探して、思いこみから抜け出してみよう！