教えて、サッコ先生! 〜こころとからだについて・みんなの気になるギモン〜【後半】教えて、サッコ先生!(みんなのギモン編)
お話を聞いた人
高橋幸子さん
産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター勤務。日本家族計画協会クリニック非常勤医師。「性教育に関わる医師になり、正しい知識を広げたい」という思いから、家庭でできる性教育サイト「
あさひ
ココカラ学園 インタビュー部
ココカラ学園の生徒「あさひ」がインタビューをお届けします。カードゲームで遊ぶことが大好きで、プログラミングにも興味があります。
あさひ
前半ではこころとからだについて学ぶということがどういうことなのか、たくさん教えてくださり、ありがとうございました! 後半は、私の周りのみんなからのギモンについて教えてください。
今回はこんなことを聞いてみたよ
- 生理がすごくつらい。何かできること、すべきことはある?
- 修学旅行や楽しみにしていたイベントと生理がかぶっちゃいそう......。
- 大人になったらみんな結婚したり、子どもを産んだりするの?
- 友だちのことが大好きでも、口同士でキスしちゃいけないの?
- 男子と女子とで制服がちがうのはなぜ?
- どうして家だけではなく、外でも遊んだほうがいいって大人は言うの?
- 性にまつわる子どもへの犯罪ってよくあることなの?
生理がすごくつらい。何かできること、すべきことはある?
あさひ
まずは、私の周りにいるおねえさんからの質問です。
「生理がすごくつらい。何かできることはある? 病院にも行ったほうがいいのかな?」
サッコ先生
生理が始まると、大人のからだに近づいたんだなってうれしい気持ちになる人も、少し不安な気持ちになる人もいると思います。どちらの気持ちもよくわかります。
生理が毎月きちんと来るようになるのに、二年間くらいは安定しないこともありますが、心配ありません。でも、生理には色々なトラブルが起こることがあるというのも事実です。
生理が毎月きちんと来ない、出血の量が多すぎる、おなかが痛くなる、生理前になると悲しい気持ちになったりねむくなったりする、ニキビが増える、便秘になる、など、トラブルの種類は本当に様々です。
あさひ
生理のつらさやトラブルにも色々な種類があるんですね。
サッコ先生
そうなんです。あさひさんは、なぜ生理が起きるのか知っていますか?
子宮では毎月受精卵(じゅせいらん)のために、ふかふかのベットのような子宮内膜(しきゅうないまく)というものを用意しています。受精卵が来なかった月は、来月に向けてベットをリニューアルするために子宮内膜が出血としてからだの外に出てくる、これが生理です。※
※生理についてもっと知りたい人は、思春期のからだの変化も読んでみてね。あさひ
生理ってすごいんですね。でもつらかったり、痛かったりするのはいやだな……と思ってしまいます。
サッコ先生
毎月生理が来ることで、からだが健康であると確認できる、という考え方もあります。でも、もし、生理のことでつらいことや、悩んでいることがあるのなら、産婦人科というところで相談してみましょう。
思春期外来や、ユースクリニックという施設では、子どもの診察に慣れている産婦人科のお医者さんに診てもらうことができますよ。痛み止めのお薬や、生理を調節するお薬など、いろいろな方法であなたをラクにしてくれますよ。
修学旅行や楽しみにしていたイベントと生理がかぶっちゃいそう......。
あさひ
次の質問です。
「修学旅行や楽しみにしていたイベントと生理がかぶっちゃいそう。できれば生理が来ないと嬉しいけど、イベントとかのために生理の日を変えるのってワガママなのかな。病院で相談しても良いことなのでしょうか?」
サッコ先生
「月経移動」という医療行為の一つですから、もちろん相談してOKです。次の生理が始まる予定の五日前から毎日お薬を飲み、生理が来てもよいタイミングになったらお薬を飲むのをやめます。これで生理の日を後ろにずらすことができますよ。
ただ、少し注意もあります。生理をずらすための薬は、人によっては少し気持ち悪くなったり、はき気が出たりすることがあるんです。イベントの日も薬を飲み続けているタイミングだと、気持ち悪くてうまく楽しめない、ということになってしまうかもしれません。
もう一ヶ月前の生理をずらすことで、イベントにお薬のタイミングや生理が重ならないようにすることもできます。可能であれば、生理の日と重なりそうなイベントの二か月前くらいに産婦人科に相談してみてくださいね。※
※月経移動はうまくいかない場合もあります。まずは産婦人科へ行って、お医者さんに相談してみてね。大人になったらみんな結婚したり、子どもを産んだりするの?
あさひ
これはわたしからの質問です!
「大人になったらみんな結婚したり、子どもを産んだりするの?」
サッコ先生
二次性徴(せいちょう)は、子どものからだから大人のからだに変わるということ。大人のからだに変わるということは、次の世代を作り出すことができるからだになるということでもあります。
二次性徴は個人差が大きいもののみんなに起こることですが、次の世代を作り出すかどうかは一人一人が自分で決められることです。
そして、結婚をしてもいいし、結婚をしなくてもいいのです。また、結婚をしたいという人がみんな平等に結婚を選択できるような社会にしたいとがんばっている大人が大勢いることも、ぜひこころにとめておいてください。※
※2022年現在、日本では異性との結婚しか法律で認められていないため。あさひ
大人になったら、みんな結婚するわけではないのですね。
サッコ先生
もちろんです! また子どもについても、子どもを持ってもいいし、子どもを持たなくてもいいのです。子どもを持ちたい場合には「自分が何歳のときに、何人子どもを持ちたい」という願いをかなえることは、その人の権利です。
あさひ
なるほど、結婚についても子どもについても、一人一人が自分で決めることができるんですね!
友だちのことが大好きでも、口同士でキスしちゃいけないの?
あさひ
では、次の質問です。
「友だちのことが大好きでも、口同士でキスしちゃいけないの?」
サッコ先生
からだのふれあいのここちよさは、国や、その人が育った文化によりちがいます。親しさを表す表現も、文化によってちがいます。安心・安全な環境でおたがいに大好きな人同士がふれ合うことは、とってもここちよいことです。
だから、口同士でキスしたいと思い合っている二人が、おたがいにキスしたいということを言葉で伝え合えたら、キスしてはいけないということはありませんよ。
逆に、おどされたり、何かをくれたりするからといって、いやなのにキスしないといけないということも絶対にありませんからね。
男子と女子とで制服がちがうのはなぜ?
あさひ
次は、私も気になっていた質問です! 私が通うココカラ学園は私服ですが、制服の学校もありますよね。
「男子と女子とで制服がちがうのはなぜ? 好きな服を選びたいな。」
サッコ先生
本当はいろんな形の制服があって、好きな制服を選べたり、制服以外の選択肢もあったりするといいですよね。制服は学校の校則で決まっているものだから、学校の制服にいろんな疑問がある人は、児童会や生徒会に質問して、みんなで考えてみるといいと思います。
例えば、男性も女性も同じデザインのスラックスをはいている学校もあります。長さやウエストの大きさなど、性別にかかわらずそれぞれの体型に合ったいろいろなサイズのものが作られていて、一人一人がぴったりの制服を着ることができるんですよ。
あさひ
私も制服のある学校に通うことがあれば、好きな形の制服を選べるといいな......!
どうして家だけではなく、外でも遊んだほうがいいって大人は言うの?
あさひ
では、次の質問です。
「どうして家で遊ぶのが好きなのに、外でも遊んだほうがいいって大人は言うの?」
サッコ先生
太陽の光を浴びると骨が強くなるホルモンが作られます。骨はからだを健康で丈夫にするためにとても大切なところだから、外で遊んでお日様に当たるといいよって言われます。また、からだを動かすことでしなやかな筋肉を作ることができます。
よい栄養をたくさんとって、よく動いて、お日様を浴びると、丈夫で健康なからだに育つんですよ。日差しがとても強い日には、おはだや目を守るために、日焼け止めやサングラスを活用しましょう。
性にまつわる子どもへの犯罪ってよくあることなの?
あさひ
最後の質問です。
「性にまつわる子どもへの犯罪ってよくあることなの?」
サッコ先生
先生は産婦人科で思春期外来という診察をしています。そこへは、大人からからだをさわられて困ったよ、という子どもがやってくることもあります。大人に相談して病院に来られるのは、ごく一部の人かもしれませんね。実際は、もう少し多くの子どもたちが被害を受けている可能性もあると思います。
大切なことは「あなたのからだはあなたのものだから、いやなことはいやだと言って、自分で守ることができるんだよ」ということ。もし、あなたにいやなことをしてくる大人やお友だちがいたとして、「いやだ!」ってうまく言えなかったとしても、悪いのはあなたではなく、相手の人なんだよということ。
だから、身近な大人や専門家など、相談に乗ってくれる人に話をしてみてほしいと思います。ワンストップセンター(※)は、専門家とも連携していますから、安心して相談してみてください。
※ワンストップセンター#8891:性犯罪・性暴力に関する相談窓口です。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携しています。あさひ
たくさんの質問に答えてくださり、ありがとうございました!