水俣病とは

水俣病とはどんな病気で何が原因だったのか、調べてみよう!

水俣病ってどんな病気?

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    1950年代、熊本県水俣市で原因がわからない病気が発生しました。手足がしびれたり、カラダがふるえたり、言葉がしっかり話せず、相手の言葉が聞きとりにくいなどの症状(しょうじょう)をうったえる人たちが増えたのです。ひどい場合は激しい痛みにおそわれ、意識不明になったり、亡くなることもありました。当時、この病気がなぜ発生したのかわかりませんでした。そのため、地域の名前をとって水俣病と名づけられました。

水俣病の原因
その原因は、ビニール製造に必要な原料(アセトアルデヒド)をつくるときに発生したメチル水銀によるものでした。メチル水銀は工場廃水(はいすい)に混じって海に流れ、魚や貝によって人のカラダにとりこまれました。この魚や貝を食べた人たちに水俣病の症状が出たのです。この汚染(おせん)はチッソという会社によって引きおこされました。水俣病の原因がわかったのが1968年。チッソがアセトアルデヒドを作り始めて36年後のことでした。
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    公害都市から環境モデル都市に
    廃水が流されていた水俣湾にはメチル水銀を大量にふくんだヘドロがたまり、厚みが4メートルになったところもあったといいます。その結果、水俣病にかかったと認められた人は2000人をこえ、被害(ひがい)を受けた人は1万5000人以上になりました。その後、13年の歳月(さいげつ)と485億円というたくさんのお金をかけて水俣湾は埋め立てられ、水俣病の被害は止まりました。1997年、熊本県知事が「水俣湾の安全宣言」を行い、魚を釣って食べたり、泳いだりすることもできるようになっています。現在水俣市では、水俣病の被害を語りつぎ、こうした公害を二度とおこさないため、世界の環境モデル都市として積極的な取り組みを行っています。

水俣病あれこれ

生物濃縮(のうしゅく)
水俣病の原因となったメチル水銀は海に流され、プランクトンなどにとりこまれます。それを魚が食べ、さらにその魚を水俣に住む人々が食べました。これを食物連鎖(しょくもつれんさ)といいますが、その作用をとおしてメチル水銀の濃度が高まってしまいました。こうした食の連鎖によって毒が濃縮されることを「生物濃縮」といい、水俣病の発生に大きく関わったといわれていれます。

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ほかの地域の水俣病
1965年、新潟県の阿賀野川(あがのがわ)沿いの地域でも、同じ病気が現れました。こちらは新潟水俣病と呼ばれています。水俣病は日本に限って起きている病気ではありません。中国、ブラジル、タンザニアなど、世界20ヵ国以上の地域で水俣病と同じ水銀中毒が確認されています。 

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