目の不自由な人は本を読んだり、旅行にでかけたりできないの? 実は、そんなことはないんだ。目の見えない人もみなさんと同じように本や旅行を楽しむことができるんだよ。どうやって?それはね、目の見えない人が読み書きできる文字があるんだよ。それが「点字」。点字は指の先で触(さわ)って「読む」文字なんだよ。手で触ってわかるように、ぼこっと盛り上がっている。一番多くて点が6つ、さいころの六のように並んでいる。その点の組み合わせで「点字」は作られていて、その点を手で触って左から右へ、横に読んでいくんだ。点字はだれでもかんたんにおぼえられるもの。さあ、あなたも点字を覚えてみよう!
点字のしくみ
もともと点字は16世紀のナポレオンの時代に、フランスのバルビエという士官(しかん)が暗闇(くらやみ)の中でも戦いの命令(めいれい)を伝える方法として考え出したんだよ。ところが彼は、この点字が、軍事目的(ぐんじもくてき)だけじゃなく、目の不自由な人のための文字として活用できることに気づいたんだ。
その後、ルイ・ブライユという人が、バルビエの点字に本格的な改良(かいりょう)を加えて、いまの6つの点を組み合わせる点字ができたんだ。1825年のことだよ。
日本に点字が入ってきたのはこれより50年以上遅れた1880年。東京盲唖(もうあ)学校長の小西信八という人がブライユの点字を使って、ローマ字表記による日本語を点字にしたんだ。その後、同じ学校の先生だった石川倉次が、かな文字48種類(しゅるい)をもっと合理的(ごうりてき)に表すために研究を重ねて、1890年点字組織を発表し、1898年には、拗音組織(ようおんそしき)を加え、現在の6点式の日本語点字組織を完成させたんだよ。
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図1
まず、点字のしくみを覚えよう。
点字は、右の図のように、6個の点の組み合わせで表現されているよ。それぞれに名前をつけて呼ぶとわかりやすいので、数字の名前がつけられているんだ。左上から下に、1の点、2の点、3の点、続いて右上が4の点、そのまま下に、5の点、6の点と呼ぶんだよ。
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みなさんは、五十音が子音と母音の組み合わせでできているのを知っているかな?
母音というのは、「あ、い、う、え、お」の5つの音のこと。やってみるとわかるけど、母音はのどがふるえて出てくる音なんだ。子音というのは、たとえば、「か」の場合、「クッ」というような息が口を通るときにせばめられてできる音をいうんだ。
母音と子音の話をしたけれど、実は、これが日本の点字と関係があるからなんだ。
点字は6つある点のうちで、「図1」の1、2、4の3つの点の組み合わせだけで、母音(あ、い、う、え、お)を表すんだ。次のような組み合わせで表すんだよ。よく覚えておこう。
本当の点字は、無地(むじ)の紙に出っぱりをつけて表すんだけど、ここでは、●で出っぱりを表すことにするよ。また、本当の点字では、ひとつひとつの字が四角で囲まれていないんだけど、最初はわかりにくいから、ここでは字をひとつひとつ四角で囲むことにするからね。
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「図1」の3、5、6は子音を表す点。あいうえおの基本の母音に3、5、6の点を加えて、「か」〜「わ」行の点字を表すことができるんだ。たとえば、か行の「K」は次のように表すんだ。つまり、3、5、6の点の中で6だけに●があれば、か行の字を表すことになるんだ。
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だから、「か」という字は、か行を表す6の点に、母音の「あ」を表す1の点を組み合わせるので、左の図のようになるんだ。
こういうふうに、点字では母音と子音の組み合わせで字を表すんだ。
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母音と子音を組み合わせて「かきくけこ」を作ってみたよ。
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(PDF形式・280kb)
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駅などで、右の写真のような「誘導(ゆうどう)ブロック」を見たことはあるかな?
どこを通れば安全なのか、どこで止まったらいいのかが、わかるようになっているんだよ。
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電車の運賃(うんちん)がいくらなのかっていう運賃表にも、点字のものがあるんだ。これを触れば、「どこまで、いくらかかる」って、わかるんだよ。
また、きっぷを買う券売機(けんばいき)にも点字が書いてあるものもあるんだ。みなさんは、もう読めるね。
おすすめのサイト(外部サイト)
点字のしくみを学び、文章を読んだり書いたりしてみよう。
点字の読み方や五十音の書き表し方などを紹介しているよ。