2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第40回は東京都出身、パラカヌーの瀬立モニカ(せりゅう・もにか)を紹介する。
障がいを負いながらも自分に誇りを持てるようになった、2015年の日本代表選出。瀬立は「カヌーをやれていて本当に良かった」と話す【写真は共同】
すぐに病名がわからなかったこともあり、その状況を受け入れるのに時間はかかった。リハビリを経て復学したが、慣れない車いす生活は何かと人目が気になり、気楽に外出することもできなかった。約1年後、当時江東区カヌー協会事務局長だった小宮次夫氏の誘いでカヌーを再開したわけだが、車いすで堂々と日常生活を送ることができるようになったのはその後だ。
「2015年に初めてパラカヌーの世界選手権に出場し、日本代表になったことで自分に誇りを持てるようになりました。当時は電車とかで迷惑そうな顔をされると嫌だなあと思っていたのですが、目指すものが決まったら自信もついてきて......カヌーをやれていて本当に良かったなと思っています」
同年には艇を漕ぐ際に体を固定させる瀬立専用のシートも作製し、瀬立の練習を楽しいものにしてくれるという西明美コーチらと技術力を磨きながら筋肉量も増やし、200メートルのスプリントで競うタイムを縮めていった。
そんな彼女を、所属する江東区カヌー協会など地元が全面バックアップ。前途の小宮氏は練習拠点のひとつである旧中川の目の間に本社がある『パラマウントベッド』にスポンサーになってもらえるよう何度も足を運び、高価だが競技力向上に欠かせないシートや艇の購入費、遠征費などに充てた。(2019年6月19日掲載記事)