2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け!ニッポンのアスリートたち」。第17回は愛知県出身、競泳・オープンウォータースイミングの森山幸美(日本体育大)を紹介する。
8月のパンパシフィック選手権には、競泳とOWSの両方で日本代表に選ばれた【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
「通っていたスイミングでも、豊川高校でも、自分が『泳ぎたい!』という気持ちを大切に指導してくださいました。だから、きつい練習でも頑張れましたし、水泳が好き、という気持ちを持ち続けられたのだと思います」
当時を振り返って、森山はこう話す。そんな森山が、OWSと出会ったのは豊川高時代のことだった。
3年生のときに行われたジュニアの国際大会のひとつ、ジュニアパンパシフィック水泳選手権。大会に競泳ではなくOWSなら出場できる事を伝えられ、出場意思を問われた森山は、チャレンジしたことのなかったOWSという競技だとしても国際大会に出場できる道を選んだ。
この年の8月、オーストラリア・ゴールドコーストで行われたパンパシフィック選手権のOWS競技は、悪天候のため中止。その代替え大会として、次の週に開催されるジュニアパンパシフィック選手権(米国・マウイ)があてがわれ、OWS競技は五輪や世界水泳選手権で活躍するようなシニアの選手たちと一緒にジュニア選手たちが泳ぐ、という異例の事態になっていた。
おそらく、初出場だった森山に10キロという長丁場のレースを組み立てることは不可能だっただろう。しかし、レースの組み立てはOWS経験豊富なシニア代表選手たちがやってくれるなら、あとは頑張ってついていけばおのずと結果はついてくる。そう信じた森山は、シニア代表選手たちの第2集団の位置をキープし続け、なんとOWS初出場で初優勝という快挙を成し遂げた。
言葉にすると簡単だが、高校生ながらシニアのOWS代表選手たちの泳力についていける力を持っていた森山のすごさが良く分かる。
こうして、森山はOWSのキャリアをスタートさせたのである。(2018年6月14日掲載記事)