2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートたちを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第9回は愛媛県出身、女子プロゴルフプレーヤーの河本結(日本体育大1年)を紹介する。
昨年の高校ゴルフ王者に輝いた1歳下の弟・力(右)と河本。姉弟での東京五輪出場を目指している【寺下友徳】
当然ながら、高校卒業後の進路に注目が集まった河本。しかし17年春、プロ入りへと歩を進めた同世代メンバーと異なり、彼女が選んだのは日本体育大体育学部体育学科への進学。
「大学生としていろいろなことを学んで、もしゴルフを終えても社会に貢献できるようになろうと思ったんです」
それから1年近く、志したことはさまざまな形で奏功している。
「キャンパスのどこにでも五輪選手、パラリンピック選手がいるんです。食堂で後ろに座っているのが白井(健三。3年・16年リオデジャネイロ五輪体操団体金メダリスト)くんだったり、キャンパスでは柔道の(阿部)一二三くん(2年・17年世界選手権66キロ級優勝)がいたり、水泳の授業をパラリンピック選手と一緒に受けたり。レベルの高い選手が周りにいる中で『一緒にいても恥ずかしくない選手になりたい』と毎日感じています。白井くんをはじめ、オーラがある選手になりたいです」
水泳、柔道、陸上競技、バドミントン、ダンス、卓球、サッカー、ラグビー、レスリングなど多種多様な競技に取り組む実技授業や、ストレッチの授業も新たな知識として刷り込まれる日々。そして大学の「スポーツ推薦枠」で入学した河本は前回、リオ五輪から正式競技として復活した「ゴルフ」での東京五輪出場をあらためて強く意識するようになった。「ゴルフは素晴らしいスポーツである」ということを万人に知ってもらうために。
「ゴルフの世界では五輪を意識している選手は少ないと思います。でも、世間ではオリンピックは世界一を決める大会。だから私は日本代表として東京五輪に出たい。
ゴルフを知らない人でも『ゴルフってこういう競技で、こういう選手がいるんだ』と思ってもらって、小さい子にゴルフをしたいと思えるように。若い人たちにもっとゴルフを知ってもらうためには、私が代表になって五輪で金メダルを取ることが必要だと思います」
その時、ずっと熱を込めていた想いが沸点を超え、一気に口からあふれ出した。(2018年2月22日掲載記事)