イタイイタイ病とは

イタイイタイ病とはどんな病気でどうして引き起こされたのか、調べてみよう!

日本初の公害病「イタイイタイ病」

  • 神岡鉱山 Photo by As6673 [CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

    「イタイイタイ病」は、大正から昭和20年代にかけて、富山県の神通川(じんづうがわ)流域で起きた公害病のひとつです。 かん者の人たちは体じゅうがはげしく痛み、「イタイ、イタイ」と苦しんだことからこの名が付けられました。この病気の原因となったのが、神通川上流にある神岡鉱山(かみおかこうざん)から流れ出たカドミウムという金属です。カドミウムは川や農地を汚染(おせん)し、水やコメをとり続けた人たちに病気は広がっていきました。

イタイイタイ病の症状(しょうじょう)
病気にかかりやすかったのは、おもに35 歳以上の子どもを産んだことのある女の人です。はじめは腰や肩、ひざなどが痛くなり、さらに病気が進むと、少し動いただけでもすぐに骨が折れてしまうようになりました。こうした症状は、カドミウムが人の体に入ると、じん臓の働きが悪くなり、強い骨がつくれなくなってしまうために起きるといわれています。
  • 神通川流域カドミウム問題の全面解決に関する調印式(出典:富山県知事石井かずたかブログ)

    全国初の公害認定から解決まで
    イタイイタイ病が新聞で紹かいされ、多くの人に知られるようになると、国や医師、研究者らが、その原因についての調査や研究をはじめます。そして1968年、国はイタイイタイ病が公害病であり、その原因は神岡鉱山から出たカドミウムであると認めました。原因がはっきりしたことで、長い間、農作物や健康の被害に苦しめられてきた地域の人たちは、神岡鉱山を経営していた三井金属鉱業(みついきんぞくこうぎょう)に対して、補償(ほしょう)を求める裁判を起こします。そして1971年、公害裁判としては日本で初めて被がい住民が企業(きぎょう)に勝利。2度目の判決も勝ち、住民側の全面勝訴(しょうそ)となりました。そして公害病と認定されて45年後の2013年12月、被がい者側と企業は、イタイイタイ病を含むすべてのカドミウム被がい問題について全面解決したとする合意書を交わしました。最初のかん者発生からおよそ100年。イタイイタイ病はようやく問題の解決にたどり着いたのです。
カドミウムってどんな物質 ?
カドミウムは、もともと自然界にある金属で、亜鉛(あえん)や鉛(なまり)などにふくまれています。家電製品や自動車など、私たちの暮らしのなかで広く使われています。
カドミウムに強い米の開発
ほとんどの食品には自然のカドミウムがふくまれています。その量はごくわずかで、イタイイタイ病をはっ症するほどではありませんが、日本人の場合、ご飯をたくさん食べるために、カドミウムを米から摂取(せっしゅ)する割合が特に高くなっています。2014年1月、農業環境技術研究所では、カドミウムをふくまないお米(コシヒカリ環1号)の開発に成功しました。普及すれば、人が吸収するカドミウム量をさらに減らすことが期待できます。

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