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農漁業 自然災害で各地に被害

一面の記事から
朝日小学生新聞 

愛媛・宇和島市 ミカン畑に土砂、農道・設備も被災

 今年日本をおそった自然災害は、各地で農業や漁業に大きな被害をもたらしました。収穫目前の作物がだめになったり、何年もかけて育てた果樹が流されたり。ビニールハウスなど施設の被害も大変な額に上ります。そんな中でも「やるしかない」と前を向き、いろいろな方法で立て直しに取り組む産地があります。(中田美和子)

「目の前に実…でも道具がない」

 かんきつ類の生産量日本一の愛媛県。中でも宇和島市吉田町はミカンの栽培が盛んです。気候がおだやかで、海に面して広がる急な斜面は、日照時間が長く、水はけがよく、おいしくなる条件がそろっています。
 しかし、7月の西日本豪雨は町内の特に玉津地区に大きな被害をおよぼしました。約400ヘクタール(4平方キロメートル)のミカン畑の10~20%が土砂で流されました。農道も土砂にうもれ、畑に行き着くこともできませんでした。
 最大傾斜50度の斜面には、ミカンを運ぶトロッコのような運搬道具があります。レールの総延長は1万5千メートルに上りますが、多くがこわれてしまいました。水や薬をまくスプリンクラーは、今もまだ全体の3割しか動きません。
 農道の土砂を取り除くのに1か月。その間、薬をまけず、草取りもできませんでした。大きく育てるために実の数を減らす「間引き」もできませんでした。「収穫量は去年の6割、売り上げは5割くらい」と、集荷をする玉津共選・共選長の山本計夫さん。一番早い品種の収穫はすでに始まっています。「目の前に実がなっているのに、道や運搬道具がなくて取れないのが何よりつらい」 

復興に向け奮闘「やるしかない」

 玉津地区は農家180戸のうち45戸は40歳以下という、若い農家の多い地域です。4年前に農家を継いだ酒井雅人さん(43歳)は「最初はどうしよう、どうなるんだろうって。でも前向きに明るくやるしかない」といいます。同世代の農家の人たちと「一人ではできないことも、気軽に意見を出して話し合える」。
 その中で復興に向けての案が次々実現しました。被害状況を知らせてネットで広く資金をつのるクラウドファンディングでは、千人近くから計1千万円以上が集まりました。味は同じで見た目が少し落ちる実は「復興ミカン」として売り出します。箱にあるQRコードを読み取ると、地区の現状がわかります。
 ミカンは「5年でようやく収穫、10年でぼちぼち、20年で一人前」といいます。先を見すえて、地区全体で畑を改革する案もあります。「災害はひどかった。でもある意味『玉津のミカン』を知ってもらうチャンスと考えてがんばりたい」

大阪府 ハウスこわれ損害額30億円/北海道 冷蔵できず生乳廃棄2万トン

 西日本豪雨は漁業にも被害をもたらしました。 愛媛県はマダイの養殖が日本一です。宇和島市では養殖をしている湾内に川から大量の雨水やゴミが流れこみました。塩分のない水に長くさらされたため、多くの魚が死にました。広島県呉市では特産のカキを育てる棚が流されました。一部は修復しましたが、再来年秋の出荷に影響する可能性があります。
 9月の台風21号は、強烈な風による被害が広い範囲におよびました。
 大阪府は農業の盛んな南部でビニールハウスが大量にこわれました。府内のハウス面積の約3分の1が被災し、被害額は30億円をこえています。羽曳野市などではイチジクが風ですれて、泉佐野市では特産の水ナスがたおれてだめになりました。
 果物のカキの出荷量が日本一の和歌山県。収穫直前の重い実が落ちたり、たわわに実をつけた枝が折れたりしました。紀の川市などで被害額は計12億円をこえています。同市ではミカンやイチジク、キウイも大きな被害を受けています。
 兵庫県川西市もイチジクの被害が目立ちました。根の張り方が浅いため、木がたおれるケースも多かったそうです。長野県では収穫直前のリンゴ、ナシやブドウの実が風で落ちました。
 9月6日の北海道の地震では、道内全域の停電で酪農に大きな影響が出ました。冷蔵や輸送ができずに捨てた生乳は約2万トンに上りました。台風24号に9月末におそわれた宮崎県では、ビニールハウスが飛ばされ、キュウリやピーマンなどに被害が出ています。

残ったミカンを収穫する酒井雅人さん(右)と子どもたち。元は上のほうにも木がありました。左下には流された木やレールが寄せてあります=どちらも9月27日、愛媛県宇和島市吉田町
手入れができなくてシミやキズがついたものを「復興ミカン」として売り出します

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