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危険な水銀、適切な管理を

一面の記事から
朝日小学生新聞 

水俣条約が発効 悲しい公害病を教訓に

 蛍光灯や電池などに使われている「水銀」。人はさまざまなものに利用してきましたが、人の体や環境に有害な物質であり、四大公害病の一つ、水俣病の原因にもなりました。水俣病の悲劇をくり返さないために、適切に管理する国際的なルールができました。(八木みどり)

古くから顔料や薬などに

日本では急速に使用減る

 水銀は、金属の一種です。常温(20度前後)では液体になるという、めずらしい性質があります。
 人間は古くから、水銀を顔料や、強い殺菌作用を利用した薬などとして使ってきました。東京農工大学教授の渡辺泉さんによると、水銀は昔、永遠の命を手に入れることができる不老長寿の薬と信じられていました。古代中国の皇帝の中には、水銀中毒で亡くなったとみられる人もいるそうです。
 水銀による被害として最も知られているのが、1956年に公式に確認された水俣病です。熊本県水俣市で化学工場から海に流された廃液に、毒性の強いメチル水銀がふくまれていました。そのメチル水銀が魚の体内に入り、その魚を食べた人たちが発症。体が自由に動かなくなったりする神経系の病気で、亡くなった人も多く、今でも症状に苦しんでいる人もいます。
 渡辺さんは「人間が水銀のあつかい方をまちがえてしまったために、水俣病のような悲劇が起きました。水銀によって環境が汚染されたら、元の状態にもどすのは不可能に近い。もはや、人間は水銀を使うのをやめるべきです」。
 世界的にみると、水銀の使用量は徐々に少なくなってきています。日本では、ピークの1964年には年間2500トン近くを使っていましたが、その後は急速に減少。現在は年8トン程度にまで減っています。

金の採掘では今も

 しかし今でも、西アフリカなどの、手作業で行うような金鉱山の採掘現場では、まじりけのない金を取り出すために水銀が使われ、労働者や地域の人たちの健康が心配されています。渡辺さんは「水銀が有害だということがきちんと理解されていないことも多い。教育によって、危険性を伝えていくことが必要です」と話します。

74か国・地域が加盟

「有害物質の扱いの手本に」

 水俣病の悲劇をくり返さない――との考えから結ばれたのが、「水銀に関する水俣条約(水俣条約)」です。74か国・地域が加盟して、先月16日に発効しました。
 条約には、水銀鉱山を新たに開発することを禁止して、今ある鉱山も将来は閉山する▽一定量以上の水銀をふくむ体温計や電池などの製造や輸出入を禁じる▽石炭や銅などの鉱石には水銀がふくまれるため、石炭を使う火力発電所から大気への排出を少なくする対策をとる――などが盛りこまれました。
 渡辺さんは「人類が古くから利用してきた水銀が条約によって適切に管理することができるようになれば、水俣条約は今後、他の有害な物質を管理する上でもとてもいいお手本となるでしょう」と期待を寄せます。

渡辺泉さん
兵庫県尼崎市では去年12月から今年1月まで薬局に水銀体温計の回収ボックスを置いていました (C)朝日新聞社
(C)朝日新聞社

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